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「翻訳・通訳とフリー」コンペに参加しての感想

先日ブログで紹介した「翻訳・通訳とフリー」コンペの結果が発表されました。

見事1位に輝いた清水憲二さん関根マイクさん、おめでとうございます。

私のアイデアは「その他」という結果でしたが、このコンペに参加させていただいたことで、著作権というものについて改めて考える機会となりました。

私のアイデアについてコメントして下さった方の意見の中に、案件と翻訳者との関係が個別的であるべきなのに、そこが抜けてしまい、翻訳者が人ではなく機械のような位置づけになってしまうという側面があるため、このアイデアはオーソドックスでおもしろくないと言えばそうだけど、翻訳関係で現実的だと思うというものがありました。

私はむしろ逆のイメージを持っていたので、このコメントを見た時、意外でした。

つまり、このアイデアをあえて提示した私自身は、著作権というデリケートな問題が絡んでいるだけに、チャレンジングな要素があって、現実的なものとは言えないだろうと思っていたからです。

ところが、コメントでは全く逆に現実的だという捉え方が書かれているので、ちょっと意外な感じがしたのです。

私がこのアイデアをコンペで提示したのには理由があります。

いちばん大きな理由としては、翻訳者というのは各自誰でも得意としている分野や専門としている分野を持っているものです。ただ、現実の案件の内容は必ずしもそれに適合したものばかりというわけではなく、自分にとって馴染みの薄い内容の文書もあります。そういう案件を扱う場合でも、翻訳者は常にわからないことがあったら、出来る限りの手段を使って調べて、訳文を仕上げるのが仕事です。

そういう中で、翻訳者にとって最も自分の力を存分に発揮することができるのは、自分の専門分野に特化したコンテンツを扱うことです。

特に得意としている分野の文書を訳す時には、翻訳者は一つ一つの言葉ではなく、その分野の背景知識や関連情報を駆使して、全体の内容を俯瞰しながら訳語を選ぶという、本当の意味で翻訳者の本領を発揮することができます。(トップダウン・リーディング)

そういうプロセスを経て出来上がった訳文は、まさに魂のこもった文章になり、読む人の心に訴えるものがあると思います。

これこそ、翻訳者の存在価値を最も理想的に示すことができる場面です。

翻訳者にとっても、文書のターゲットとなる読者にとっても、理想的なwin-winの関係が成り立ちます。

それをフリーミアムという概念との関係の中で一つの形にするとしたどういうアイデアが考えられるだろうかと考えた時に、「ブログコンテンツによる直接的内部相互補助」というアイデアに至りました。

つい最近、ある翻訳関係のブログを見ていたら、著名な翻訳者を除いて、翻訳者が目立つことはあまりなく、洋書を和訳して出版する場合にも翻訳者の名前で出版するよりも、どこかの大学教授の名前で出版した方が売れるという話を聞いたことがあるという記述がありました。そこには、翻訳者の方がよっぽどわかりやすい翻訳をすると思うのですが、と書かれていました。

私もこういう話は聞いたことがありますが、ここには翻訳者というものの社会的な位置づけが象徴的に表れていると思います。

つまり、原文の著者の表現したいことを正確に理解し、それを的確に表現することで、裏方としてコミュニケーションの橋渡しをするのが役割であり、目立つことは職業倫理に反するというような社会通念です。

翻訳者の役割というのは、基本的にそういうものだと思いますが、翻訳者が目立つことがあまり肯定的に捉えられていないのは、何とも釈然としない感じがするのです。

私は、翻訳者はクリエイターであり、表現者だと考えています。

翻訳に関わっている者であれば、誰でも言葉に興味があるのは当然ですし、言葉で何かを表現することに喜びを見出すことでしょう。その表現は、自分が表現したいことを表現するのではなく、自分以外の人間が表現したいことを、その人に代わって表現するというものであり、その意味で訳者は役者だと思います。

この役者としての本領を発揮できるのが、まさに得意分野や専門分野です。

原文の雰囲気や内容に感情移入しやすく、自然と言葉が出てきます。

例えば、私がブログにF1関連記事の訳文をまとめる時には、原文を読んでいるだけで、ドライバーのコメントしている姿やレースのイメージがリアルに浮かんできます。

何か特定の得意分野や専門分野を持っている翻訳者であれば、誰でもこういう経験をしたことがあるだろうと思います。

それを、より多くの翻訳者が現実の仕事として具現化できるモデルをつくることができればという根本的な想いから、今回のようなアイデアを提示した次第です。

先日のブログで、海外の代表的なF1関連メディアの編集に関わっている人たちに英語でメールを送って、著作権について確認してみたという話を書きましたが、コンペが始まった後、また数社からメールの返事が届き、ある一定の条件の下であれば、ブログでF1関連記事の翻訳を扱うことを認めるという内容でした。例えば、その記事のサイトやメディアのリンクをきちんと貼った上で、毎週5本までなら記事を扱ってもいいといったような内容です。

先日も書いた通り、今回のコンペ参加は、私にとってインターネット時代の著作権問題を考える上で非常に有益なものでした。

その後、自分なりにこの問題について考えている中で、ある二つの視点から問題について考えてみたらどうだろうかという考えが浮かんできました。

それについては、まだ自分の中でまとまった形になっていないので、さらに思考を進めていこうと思っています。

コンペに参加させていただいて、ありがとうございました。

テーマ : マーケティング
ジャンル : ビジネス

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プロフィール

平井和也

Author:平井和也
KH翻訳事務所代表。主に人文科学・社会科学分野の日英・英日翻訳を中心にしており、行政翻訳専攻です。好奇心旺盛な本好きです。異文化間コミュニケーション・サポーター。日本翻訳者協会(JAT)会員。海外ニュースライター。

特に政治、経済、国際情勢、行政、ジャーナリズムといった時事的なテーマが得意です。

主な翻訳実績として、東大や一橋大学などの教授の書いた学術文書の英訳、2006年サッカーW杯ドイツ大会の翻訳プロジェクトや防衛省・法務省などの政府系文書、政府高官のパーティースピーチ文書、国際会議関連文書、シンクタンクの報告書・論考、英字新聞『ジャパン・タイムズ』寄稿記事の和訳などの翻訳経験があります。

趣味:読書、語学。

ブログを読んでいただいて、ご意見・ご感想などございましたら、お気軽に以下のアドレスまでメールをいただければと思います。

curiositykh@world.odn.ne.jp

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