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二つの対称的なマーケティング体験

最近、企業や組織のマーケティングに関して二つの対照的な経験をしました。

一つはパソコン製造業者である富士通に関するもので、もう一つは私の地元のあるレンタルビデオ店に関するものです。

つい先日、私はパソコンの技術的なことに関してちょっと確認したいことがあり、製造元である富士通のカスタマーサービスセンター(富士通パーソナル製品に関するお問い合わせ窓口)に電話で問い合わせてみました。

そのときに対応に当たってくれたオペレーターの方の説明が非常にわかりやすく、また顧客目線に立った的確なものであり、私の中に強い印象として残るものでした。

そのオペレーターの方は、まず私の問い合わせている内容についてじっくり話を聞き、間にいくつかの質問を挿みながら、私の抱えている問題を把握し、同時に私のパソコンに関する知識レベルも認識していました。

その上で、私の問題の解決法を見出すための具体的な作業手順と内容について説明し、実際にその人の指示に従ってパソコンの当該個所を開き、再起動を行って解決に関する項目が見つかるかどうか試してみました。

このときに、試してみるべき項目は一つではなく、実際には数十項目ありました。そこで、電話で話しながら全ての項目を逐一確認していったら、膨大な手間と時間がかかってしまいます。

そこで、このオペレーターの方は次のような趣旨の説明をしてくれました。

よく経験の浅い若いオペレーターの中には、この作業を全ての項目について試して下さいなんていうことを言う人がいますが、膨大な時間がかかってしまい、現実的ではないのは明らかですので、私はそんな野暮なことは申しません。お客様の場合には、既にパソコンに関するかなり詳しい知識をお持ちですので、もう少し応用を利かせた対応をしていただくことが可能だと思います。例えば、項目の中の半分だけに関して先程行った作業を試してみて、問題個所が見つかるかどうか確認してみて、そこで問題が見つからなかったら、残り半分の項目やWindowsにもともとインストールされた機能以外でお客様が後からインストールされた項目だけを選んで同じ作業を試してみる、といったことをお奨め致します。

このオペレーターの方の説明の仕方は簡にして要を得たものであり、ベテランの熟練したスキルを感じさせるものでした。私にとって、納得できる説明であり、また自分が問い合わせた問題がどんな性質のものであり、その原因が何なのかを知るために有益なサポートとなってくれました。

私はパソコンを使うようになってからずっと富士通製のパソコンを使っており、これまでも何度も電話でのサポートサービスを利用してきたので、何人ものオペレーターの方と話をした経験があります。

その中には、今回の方以外にも印象に強く残っている方がいます。その方は、やはり顧客目線に立った説明をしてくれたからです。その方は、富士通の対応マニュアルに過剰に拘泥することのない柔軟な説明の仕方をしてくれたのです。その方は、今から話すことは富士通の公式のマニュアル的な対応ではないことをあらかじめ知っておいてほしいということを明確にした上で、その人自身が個人的にパソコンを使っている中で同じような現象を経験したことがあり、そのとき自分はこういう個所を確認し、こういう対応をしてみたら問題が解消されたことがある、というような説明の仕方をしてくれました。また、同じような問い合わせが他の顧客からもあった事例なども紹介してくれて、付加価値のある情報を提供していただけました。

こういう説明の仕方は、少なくとも私にとっては顧客として非常に親近感が湧き、技術的な問題解決のためのリアルで有益な情報を提供していただくことができたという感覚を覚えました。このオペレーターの方には特に好印象を持ちました。

以上のように、私が好印象を持ったオペレーターの方々には共通点があります。それは、必ずしもマニュアルに拘泥することなく、顧客の話をしっかり聴き、問題を把握するだけでなく、顧客のパソコンに関するリタラシーも的確に認識しながら、それぞれの顧客に合った臨機応変な説明の仕方や提案をするということです。換言すると、顧客と心を通わせることができるコミュニケーターだということです。

言ってみれば当たり前のことですが、それができないことが多いと思います。実際、今までに電話で問い合わせをした中で、説明が杓子定規で何が問題なのかいまいちよくわからず、こちらにとって釈然としない気持ちが残ったというケースも経験したことがあります。

次に、地元のレンタルビデオ店についての話に移りたいと思います。

数日前に、このお店で初めて映画のDVDを借りました。私はこのお店には過去に何度か入ったことがありましたが、特に借りる予定もなかったので、何も借りずに店内を軽く見て出てくるというパターンでした。

先日、そのお店で初めてDVDを借りたとき、ちょっと不便だと感じることがありました。

それは顧客の見やすいところに料金表が貼っていなかったということです。

私は先日このお店に行ったとき、今日はここで何か借りたいと思っていました。店内のアイテムを見ながら、素朴な疑問として、入会料金はいくらなんだろうか、旧作のDVDを一週間借りるとしたらレンタル料金はいくらになるんだろうか、といったことが頭に浮かびました。

そこで、店内を見回してみると、どこにも料金表が貼っていないことに気づいたのです。

レジのところにいる女性の店員さんに聞いてみると、レジ台のラバーカバーの下にある小さな紙の料金表を教えてくれました。

非常に単純で初歩的なことですが、顧客の見やすい場所に料金表が貼ってないのは、顧客目線からは不便だと感じると思います。

私がその場で求めていたものは、完全に初歩的なマーケティングであり、高度な要素など一つもありません。単なる料金表だけなのです。

ところが、その基本的なポイントがおさえられていないということは、このお店がマーケティングの初歩から完全に外していると言えると思います。

これは私にとっては、富士通のオペレーターの方の痒い所に手が届く対応とは対極的な経験でした。

富士通という大手企業と町の小さなレンタルビデオ店という規模の違いはありますが、マーケティングの基本である顧客目線に立てるかどうかという点では、ビジネスを行っていく上で全く同じポイントと言えます。

以下に書くことは、私の実際の経験やビジネス書などを通して得た知見に基づいた考え方です。

人間は自分が求めているレベルのものを受け取ることができると、満足感を覚えます。例えば、10のレベルの品質のものを希望通り入手することがきたとしたら、その人は自分の欲求、需要を満たしてもらえたことに対して満足するでしょう。

ところが、もしその人が希望レベルを超えた12や13のレベルのものを入手することがきたとしたら、その人は満足以上の気持ち、満足プラスαのものを感じることでしょう。この「満足プラスα」とは、「感動」や「感激」という言葉で表現できると思います。

つまり、人間は期待通りのものを提供してもらったときには「満足」し、それ以上のものを思いがけず入手できたときには「感動」する生き物だと言えます。

私はマーケティングの本質とはこの「感動」を提供することだと思います。人は感動したら、その経験は思い出として強く心の中に残るはずです。極端な場合には、その経験を通じて人生観や世界観が大きな影響を受けることもあるでしょう。ビジネスでは、顧客が感動体験をすることによって、それをもたらしてくれた商品や企業のファンになることでしょう。

私も異文化間コミュニケーションに関わっている者として、少しでもそのような感動体験を提供することができたらと思い、あらためて精進していかなければという思いでおります。

テーマ : ビジネスに必要な心理学
ジャンル : ビジネス

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プロフィール

平井和也

Author:平井和也
KH翻訳事務所代表。主に人文科学・社会科学分野の日英・英日翻訳を中心にしており、行政翻訳専攻です。好奇心旺盛な本好きです。異文化間コミュニケーション・サポーター。日本翻訳者協会(JAT)会員。海外ニュースライター。

特に政治、経済、国際情勢、行政、ジャーナリズムといった時事的なテーマが得意です。

主な翻訳実績として、東大や一橋大学などの教授の書いた学術文書の英訳、2006年サッカーW杯ドイツ大会の翻訳プロジェクトや防衛省・法務省などの政府系文書、政府高官のパーティースピーチ文書、国際会議関連文書、シンクタンクの報告書・論考、英字新聞『ジャパン・タイムズ』寄稿記事の和訳などの翻訳経験があります。

趣味:読書、語学。

ブログを読んでいただいて、ご意見・ご感想などございましたら、お気軽に以下のアドレスまでメールをいただければと思います。

curiositykh@world.odn.ne.jp

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