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好きな作家

私は元外務省の情報分析官であり作家の佐藤優さん(ロシア専門家)の著書を好んで読んでいます。これまでに同氏の著書はほとんど読んでいますが、中でも対談本には特に魅力を感じます。例えば、ジャーナリストの田原総一朗さんとの対談本『第三次世界大戦―新帝国主義でこうなる』と『第三次世界大戦―世界恐慌でこうなる』は知的好奇心をくすぐられるものでした。

両者とも政治や世界情勢の表と裏を知り尽くしたプロフェッショナルだけに、実に読み応えのある内容でした。話題はサブプライムローン問題に端を発した金融混乱から新自由主義論争、格差と貧困の問題、非対称な戦争であるテロリズム、新帝国主義の台頭、天皇制と憲法の関係、ロシアと中国の将来、これからの日本の戦略と多岐にわたっています。

私はその中でも、佐藤優さんのロシア情勢分析には特に注目しました。同氏の分析によると、プーチン首相は2012年までメドベージェフ大統領に政権を任せ、再び大統領に復帰して少なくとも2020年までメドベージェフ氏との二重王朝を築こうという戦略を考えているといいます。2008年11月にはロシアで大統領の任期を4年から6年に延長する法案が可決されており、プーチンは帝国主義的覇権構想に向けて着々と布石を打っているようです。実際、ロシアはウクライナ経由でのヨーロッパへのガス供給を停止するという動きに出ており、これはEU諸国の拡大を明らかに牽制する思惑が垣間見えます。

また、2008年8月のロシアによるグルジア侵攻に関する佐藤氏の解説も興味深いものがあります。この武力衝突に際して、フランスのサルコジ大統領が調停役として登場しましたが、ここにもフランスの国益確保を狙った狡猾な思惑があります。つまり、グルジアは黒海に面し、カスピ海にもほど近い場所に位置する石油とパイプラインの要衝であり、フランスはその利権とコーカサス一帯の発言権を狙っているといいます。サルコジ大統領が提示した調停案の中には和平6原則というものが盛り込まれていますが、その中には肝心の「グルジアの領土保全」 が入っていないのです。これは、ロシアがグルジアを焼いて食おうが煮て食おうがかまわないという意味を含んでおり、フランスは自国の利益しか考えていないことを表しています。アメリカのライス国務長官はこの調停案を見せられたとき、フランスの思惑を理解することができず、その案を承認したといいます。

世界各国の様々な思惑が交錯する国際情勢の苛烈さと激動の世界の現実を思い知らされる本格的な対論で、是非一読をお薦めします。

テーマ : 本の紹介
ジャンル : 学問・文化・芸術

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プロフィール

平井和也

Author:平井和也
KH翻訳事務所代表。主に人文科学・社会科学分野の日英・英日翻訳を中心にしており、行政翻訳専攻です。好奇心旺盛な本好きです。異文化間コミュニケーション・サポーター。日本翻訳者協会(JAT)会員。海外ニュースライター。

特に政治、経済、国際情勢、行政、ジャーナリズムといった時事的なテーマが得意です。

主な翻訳実績として、東大や一橋大学などの教授の書いた学術文書の英訳、2006年サッカーW杯ドイツ大会の翻訳プロジェクトや防衛省・法務省などの政府系文書、政府高官のパーティースピーチ文書、国際会議関連文書、シンクタンクの報告書・論考、英字新聞『ジャパン・タイムズ』寄稿記事の和訳などの翻訳経験があります。

趣味:読書、語学。

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curiositykh@world.odn.ne.jp

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