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翻訳という迷路

つい先日、たまたまテレビをつけた時に、料理が得意な芸能人が目隠しをした状態で、料理が苦手な芸能人に調理法を言葉で教えるという番組が放送されていました。その様子をしばらく見ていて思ったのが、視覚情報なしで言語だけでものを表現することがいかに難しいかということです。

言語学者のフェルディナン・ド・ソシュールは、「シニフィアン」と「シニフィエ」という概念を提示しました。「シニフィアン」とは、例えば、「車」という言語記号があるとすると、「クルマ」という音の組み合わせが「シニフィアン」(記号表現)であり、それに対して、「クルマ」という言葉を聞いた時、「車」という概念を頭に思い浮かべるその概念の図式のことを「シニフィエ」(記号内容)といいます。

人間は言葉を使ってコミュニケーションをとっていますが、この「シニフィアン」と「シニフィエ」がうまく噛み合うとは限りません。言語を使ったコミュニケーションは便利ですが、それが必ずしも万能であるわけではありません。「クルマ」という言葉を聞いた時、赤い軽自動車を頭に思い浮かべる人もいれば、白い乗用車を思い浮かべる人もいることでしょう。言葉を使ったコミュニケーションには、常にこのような行き違いや誤解の可能性がつきまとっています。

翻訳とは、まさに言葉だけで全てを表現することが求められる知的作業です。前述のテレビ番組を見ていると、翻訳というものがいかに難しいかを改めて思い知らされる感じがしました。

そこには、自分以外の人が書いた文章を読み、その内容を理解し、それを別の言語で表現するというプロセスが介在しており、しかも異文化の壁が立ちはだかっています。参考資料で図表などもありますが、基本的にはこのプロセス全てを言語だけを使って行います。こういうことを考えていると、翻訳とは異文化の壁に囲まれた巨大な迷路のように思えてきます。

翻訳された文章を読んでどう感じるか、どう解釈するかは読者による好みや主観によって違い、さらに異文化の壁という大きな障害が立ちはだかっています。
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テーマ : 思うこと
ジャンル : 学問・文化・芸術

プロフィール

平井和也

Author:平井和也
KH翻訳事務所代表。主に人文科学・社会科学分野の日英・英日翻訳を中心にしており、行政翻訳専攻です。好奇心旺盛な本好きです。異文化間コミュニケーション・サポーター。日本翻訳者協会(JAT)会員。海外ニュースライター。

特に政治、経済、国際情勢、行政、ジャーナリズムといった時事的なテーマが得意です。

主な翻訳実績として、東大や一橋大学などの教授の書いた学術文書の英訳、2006年サッカーW杯ドイツ大会の翻訳プロジェクトや防衛省・法務省などの政府系文書、政府高官のパーティースピーチ文書、国際会議関連文書、シンクタンクの報告書・論考、英字新聞『ジャパン・タイムズ』寄稿記事の和訳などの翻訳経験があります。

趣味:読書、語学。

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curiositykh@world.odn.ne.jp

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