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コピーライターに学ぶ文章術

これが今年最後のブログ更新です。

今回は、コピーライターに学ぶ文章術について書きたいと思います。

私は最近仕事で、海外で開催されるショートフィルムのコンテストに出展する映像のシナリオを英語に訳すという案件依頼を受けました。

原文の日本語自体は短いものでしたが、この案件を通して改めて文章の推敲について考えさせられました。

自分が英訳したものを何度も読み返し、微妙な言い換えや語順の入れ替えなど、微調整を加え、表現を何度も見直しました。その後、ネイティブ校正者にファイルを送り、校正者からの返信が届きました。

その校正ファイルを見ると、私が微調整した英訳にさらに微調整を加え、英語としてより読みやすく、内容が伝わりやすいように書き換えが行われていました。

その中に、原文の内容を再確認するためのネイティブのコメントが付けられており、それに対して私が再度フィードバックし、英語と内容についての確認メッセージを送るという流れで仕事を進めました。

そんなやり取りを2回くらい繰り返した中で、表現はよりスムーズに読みやすいものへと変わっていきましたが、コメントの中には、改めて異文化間コミュニケーションの微妙さや、深さを感じさせられるものもありました。

それは、文章中に出てくるある食べ物の色に関することでした。

色の表現を見た時、英語のネイティブ校正者にはその正確なイメージがつかめず、微妙に違うイメージを抱いたといいます。そこで、私はその食べ物のイメージが伝わりやすい画像サイトを見つけ、メールを送って紹介したところ、校正者もなるほど正しく理解できた、という展開でした。

これは慶應義塾大学の鈴木孝夫教授などが唱えていることで知られている社会言語学に関係した事柄です。つまり、日本人が茶色と認識する色を、オレンジ色と認識する国もあったり、日本では虹は七色というのが社会通念となっていますが、それを無数と考えたり、五色と考えたりする国もあったりするという類の話です。

この話はまた別の論点になってしまうので、ここではこれ以上深入りしないようにしようと思います。

本案件を通して私が強く感じたことは、文章を何度も読み直して、しつこいくらい内容を確認し、表現を工夫することが重要だということを再確認したということです。

この案件に限らず、翻訳のどの案件でもそれは当たり前のことですが、ネイティブ校正者の手を加えた文章を見たり、先程触れた色に対する認識の微妙な差異のことについて考えたりすると、訳文を何度も読み返し、原文の内容を客観的に熟慮することがどれだけ重要かを改めて感じます。

コピーライターの鈴木康之氏は著書『名作コピーに学ぶ読ませる文章の書き方』の中で、文章を書き直すことについて、次のように述べています。

あなたも私も天才ではない。しかし、私たちにはいい文章を書き上げられます。書き直しなら私たちにもできます。書き直しを飽くことなく繰り返していけばいいのです。才能というないものをあるかのように過信することもせず、あてどなく欲しがることもせず、平常心で、ちょっとだけしつっこく、書き直し続ければいいのです。書き直していくと喜びが生まれます。少しずつへんなところ、へたなところがなくなっていって、どんどん良くなるからです。どこまで良くなるのだろう、と思う域に達したらしめたものです。


この言葉を噛みしめたいです。

やはり、日本語でも英語でも文章を書く力を伸ばすためには、いろいろなタイプの名文を多く読み、その文章を書き写し、そのどこがどういう風に優れているのかを分析し、そのエッセンスを学ぶということが有用なアプローチなんだと思います。

前記の鈴木氏の著書の巻末にまとめられている文章を書く上でのポイントを、以下に紹介して、今年最後のブログを絞めたいと思います。

文章は書くものではなく、読んでもらうものです。
読む人が、知ってトクするように、読んで満足するように、書きなさい。
文章は中身がだいじ。中身探しのために知らない話の世界を訪ねなさい。
書き上手になろうと思わずに、聞き上手になりなさい。調べ上手になりなさい。
人と違うことを考えなさい。想像の翼で自由に飛びなさい。
あなた自身が感動した話、読む人がきっと喜ぶ土産話を聞かせなさい。
中身にふさわしい書き方を考え出しなさい。気分を出して書きなさい。
モノ、コト、オモイ、すべて読む人への説明だと思いなさい。
親切に、丁寧に、読んでもらいたいという気持ちを込めて書きなさい。
サービス精神たっぷりの、見た目にいい文章に仕立てなさい。
書き直しなさい。文章を書くとは、書き直すことです。
書き直していけば、どんどんいい文章になります。
書き直せば、いい文章は、幕の内弁当のように仕上がって、読む人の前に出ます。


以上が今年最後のブログです。

ブログを読んで下さった皆さん、また来年もよろしくお願い申し上げます。
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テーマ : 実用・役に立つ話
ジャンル : 趣味・実用

プロフィール

平井和也

Author:平井和也
KH翻訳事務所代表。主に人文科学・社会科学分野の日英・英日翻訳を中心にしており、行政翻訳専攻です。好奇心旺盛な本好きです。異文化間コミュニケーション・サポーター。日本翻訳者協会(JAT)会員。海外ニュースライター。

特に政治、経済、国際情勢、行政、ジャーナリズムといった時事的なテーマが得意です。

主な翻訳実績として、東大や一橋大学などの教授の書いた学術文書の英訳、2006年サッカーW杯ドイツ大会の翻訳プロジェクトや防衛省・法務省などの政府系文書、政府高官のパーティースピーチ文書、国際会議関連文書、シンクタンクの報告書・論考、英字新聞『ジャパン・タイムズ』寄稿記事の和訳などの翻訳経験があります。

趣味:読書、語学。

ブログを読んでいただいて、ご意見・ご感想などございましたら、お気軽に以下のアドレスまでメールをいただければと思います。

curiositykh@world.odn.ne.jp

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