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物語型マーケティング

私は、世の中で活躍している著名人や、ビジネスの現場で販売されている商品やサービスの裏にある物語に非常に興味があります。

以前ブログに書いたように、F1ドライバーの故アイルトン・セナに興味を持つようになったきっかけも、セナに関する本を読んだことでした。

これは、私の好みや考え方が即物的でないことを表しているのだと思います。

商品の裏にある物語で、特に代表的な例として真っ先に思い浮かぶのがフェラーリです。

フェラーリは1947年の創業以来、一貫してF1に参戦し続けており、その間に何人もの一流ドライバーが亡くなっています。テストドライバーも亡くなっていますし、創業者エンツォ・フェラーリの長男、アルフレッド・フェラーリも病いで早世しています。

そのボディカラーから、「フェラーリの赤は血の赤である」というある種の死を想起させる高貴な血の匂いが漂っており、その世界観のどこかに、名状しがたい危うさや、人間の持つ儚さのようなものを感じさせるのは、フェラーリをおいて他に存在しません。

あたかも闘牛に興奮する観衆のように、人はある種の恍惚感を持ってフェラーリを見ます。その物語性、伝説性、神話性が、フェラーリの比類なきブランドの根幹を形作っていると言えます。

『ハリー・ポッター』シリーズの大ヒットの要因にも、作品そのものの魅力はもちろんですが、その裏にある秘話にもインパクトがあったように思います。

翻訳者の松岡佑子さんの旦那さんは静山社という出版社を経営していましたが、病気で亡くなるという悲劇に見舞われ、松岡さん自身がその経営を引き継ぐことになりました。

ある時、仕事で英国を訪れ、現地で『ハリー・ポッター』という作品が人気を博していることを知り、実際に読んでみると、その魅力に惹かれ、松岡さんは著者であるJ.K.ローリングに英語で手紙を書き、日本語訳を自分に担当させてほしいということ、日本語版の版権を静山社がほしいということを要請した、ということを描いたテレビ番組を見たことがあります。

私の好きな本の中の一冊に、ジャーナリストの立花隆さん『青春漂流』という本があります。

これは単行本として出版されたのが1985年というかなり古い本ですが、ナイフ職人や動物カメラマンなど、様々な背景を持った11人の20代から30代の人たちへのインタビューをまとめたものです。

その中には、今や有名なソムリエである田崎真也さん(1995年に第8回世界最優秀ソムリエコンクール優勝)の25歳の頃の様子も記述されています。

この本の中では、インタビューを受けた11人のそれまでの人生や目指すビジョンなどが語られていて、各自の波乱万丈の人生物語を楽しむことができます。

私が先月仕事で翻訳依頼を受けた案件の中に、特に物語性が濃いものがありました。

それは、英字新聞『ジャパン・タイムズ』に掲載された“Battling a broken system”と“Behind the facade of family law”と題する記事を実際に書いたネイティブ寄稿者からの依頼で、その記事を和訳するというものでした。(記事の最後に書かれているように、執筆者名のRichard Coryはペンネームです。)

内容は、国際結婚し離婚した米国人の父親と日本人の母親が子供3人の監護権をめぐって裁判を起こし、家庭裁判所が父親が娘を引き取ることを認めたというものです。(息子2人の監護権は母親に認められました。)

この母親は、不倫をしていた上に、子供を虐待していたそうです。記事を読むと、児童相談所や福祉事務所の杜撰で事なかれ主義的な対応がよくわかります。また、外国人に不利な社会的雰囲気も伝わってきました。

母親は自分ではなく夫が虐待をしているとウソをついたり、福祉事務所はその話を詳しく調査することもなく、ほんの30分の話し合いだけで簡単に信じて、母親と子供を保護施設に入居させたりするという現実が綴られています。

訳文は、離婚夫婦による連帯保護義務(joint custody)に関する活動をしているNPOに提供されるそうです。

この案件では、自分が仕事を通して、クライアントに、また社会に貢献することができているという実感が特に強く感じられました。

記事そのものが案件の全てを物語っており、翻訳を通じて、自分が物語の一部に参加することができているという身近な感覚を味わうことができました。

翻訳や通訳という仕事は、言語で表現されたある種の物語(広義の情報)を伝達する橋渡し役であり、その物語の内容や微妙なニュアンスが出来るだけ正確に伝わるようにするプロセスをデザインすることが役割です。

だから、私は自分のブログのページタイトルに「コミュニケーション・デザイナー」という言葉を使っています。

私自身も、異文化間コミュニケーションをサポートする仕事を通じて、クライアントや社会に対して心を打つような物語を一つでも描くことができればいいと思っています。
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テーマ : 成功をかなえる自分に向かって
ジャンル : ビジネス

二つの対称的なマーケティング体験

最近、企業や組織のマーケティングに関して二つの対照的な経験をしました。

一つはパソコン製造業者である富士通に関するもので、もう一つは私の地元のあるレンタルビデオ店に関するものです。

つい先日、私はパソコンの技術的なことに関してちょっと確認したいことがあり、製造元である富士通のカスタマーサービスセンター(富士通パーソナル製品に関するお問い合わせ窓口)に電話で問い合わせてみました。

そのときに対応に当たってくれたオペレーターの方の説明が非常にわかりやすく、また顧客目線に立った的確なものであり、私の中に強い印象として残るものでした。

そのオペレーターの方は、まず私の問い合わせている内容についてじっくり話を聞き、間にいくつかの質問を挿みながら、私の抱えている問題を把握し、同時に私のパソコンに関する知識レベルも認識していました。

その上で、私の問題の解決法を見出すための具体的な作業手順と内容について説明し、実際にその人の指示に従ってパソコンの当該個所を開き、再起動を行って解決に関する項目が見つかるかどうか試してみました。

このときに、試してみるべき項目は一つではなく、実際には数十項目ありました。そこで、電話で話しながら全ての項目を逐一確認していったら、膨大な手間と時間がかかってしまいます。

そこで、このオペレーターの方は次のような趣旨の説明をしてくれました。

よく経験の浅い若いオペレーターの中には、この作業を全ての項目について試して下さいなんていうことを言う人がいますが、膨大な時間がかかってしまい、現実的ではないのは明らかですので、私はそんな野暮なことは申しません。お客様の場合には、既にパソコンに関するかなり詳しい知識をお持ちですので、もう少し応用を利かせた対応をしていただくことが可能だと思います。例えば、項目の中の半分だけに関して先程行った作業を試してみて、問題個所が見つかるかどうか確認してみて、そこで問題が見つからなかったら、残り半分の項目やWindowsにもともとインストールされた機能以外でお客様が後からインストールされた項目だけを選んで同じ作業を試してみる、といったことをお奨め致します。

このオペレーターの方の説明の仕方は簡にして要を得たものであり、ベテランの熟練したスキルを感じさせるものでした。私にとって、納得できる説明であり、また自分が問い合わせた問題がどんな性質のものであり、その原因が何なのかを知るために有益なサポートとなってくれました。

私はパソコンを使うようになってからずっと富士通製のパソコンを使っており、これまでも何度も電話でのサポートサービスを利用してきたので、何人ものオペレーターの方と話をした経験があります。

その中には、今回の方以外にも印象に強く残っている方がいます。その方は、やはり顧客目線に立った説明をしてくれたからです。その方は、富士通の対応マニュアルに過剰に拘泥することのない柔軟な説明の仕方をしてくれたのです。その方は、今から話すことは富士通の公式のマニュアル的な対応ではないことをあらかじめ知っておいてほしいということを明確にした上で、その人自身が個人的にパソコンを使っている中で同じような現象を経験したことがあり、そのとき自分はこういう個所を確認し、こういう対応をしてみたら問題が解消されたことがある、というような説明の仕方をしてくれました。また、同じような問い合わせが他の顧客からもあった事例なども紹介してくれて、付加価値のある情報を提供していただけました。

こういう説明の仕方は、少なくとも私にとっては顧客として非常に親近感が湧き、技術的な問題解決のためのリアルで有益な情報を提供していただくことができたという感覚を覚えました。このオペレーターの方には特に好印象を持ちました。

以上のように、私が好印象を持ったオペレーターの方々には共通点があります。それは、必ずしもマニュアルに拘泥することなく、顧客の話をしっかり聴き、問題を把握するだけでなく、顧客のパソコンに関するリタラシーも的確に認識しながら、それぞれの顧客に合った臨機応変な説明の仕方や提案をするということです。換言すると、顧客と心を通わせることができるコミュニケーターだということです。

言ってみれば当たり前のことですが、それができないことが多いと思います。実際、今までに電話で問い合わせをした中で、説明が杓子定規で何が問題なのかいまいちよくわからず、こちらにとって釈然としない気持ちが残ったというケースも経験したことがあります。

次に、地元のレンタルビデオ店についての話に移りたいと思います。

数日前に、このお店で初めて映画のDVDを借りました。私はこのお店には過去に何度か入ったことがありましたが、特に借りる予定もなかったので、何も借りずに店内を軽く見て出てくるというパターンでした。

先日、そのお店で初めてDVDを借りたとき、ちょっと不便だと感じることがありました。

それは顧客の見やすいところに料金表が貼っていなかったということです。

私は先日このお店に行ったとき、今日はここで何か借りたいと思っていました。店内のアイテムを見ながら、素朴な疑問として、入会料金はいくらなんだろうか、旧作のDVDを一週間借りるとしたらレンタル料金はいくらになるんだろうか、といったことが頭に浮かびました。

そこで、店内を見回してみると、どこにも料金表が貼っていないことに気づいたのです。

レジのところにいる女性の店員さんに聞いてみると、レジ台のラバーカバーの下にある小さな紙の料金表を教えてくれました。

非常に単純で初歩的なことですが、顧客の見やすい場所に料金表が貼ってないのは、顧客目線からは不便だと感じると思います。

私がその場で求めていたものは、完全に初歩的なマーケティングであり、高度な要素など一つもありません。単なる料金表だけなのです。

ところが、その基本的なポイントがおさえられていないということは、このお店がマーケティングの初歩から完全に外していると言えると思います。

これは私にとっては、富士通のオペレーターの方の痒い所に手が届く対応とは対極的な経験でした。

富士通という大手企業と町の小さなレンタルビデオ店という規模の違いはありますが、マーケティングの基本である顧客目線に立てるかどうかという点では、ビジネスを行っていく上で全く同じポイントと言えます。

以下に書くことは、私の実際の経験やビジネス書などを通して得た知見に基づいた考え方です。

人間は自分が求めているレベルのものを受け取ることができると、満足感を覚えます。例えば、10のレベルの品質のものを希望通り入手することがきたとしたら、その人は自分の欲求、需要を満たしてもらえたことに対して満足するでしょう。

ところが、もしその人が希望レベルを超えた12や13のレベルのものを入手することがきたとしたら、その人は満足以上の気持ち、満足プラスαのものを感じることでしょう。この「満足プラスα」とは、「感動」や「感激」という言葉で表現できると思います。

つまり、人間は期待通りのものを提供してもらったときには「満足」し、それ以上のものを思いがけず入手できたときには「感動」する生き物だと言えます。

私はマーケティングの本質とはこの「感動」を提供することだと思います。人は感動したら、その経験は思い出として強く心の中に残るはずです。極端な場合には、その経験を通じて人生観や世界観が大きな影響を受けることもあるでしょう。ビジネスでは、顧客が感動体験をすることによって、それをもたらしてくれた商品や企業のファンになることでしょう。

私も異文化間コミュニケーションに関わっている者として、少しでもそのような感動体験を提供することができたらと思い、あらためて精進していかなければという思いでおります。

テーマ : ビジネスに必要な心理学
ジャンル : ビジネス

フリーランスという生き方

米『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙に“How to Succeed in the Age of Going Solo”と題したフリーランスに関する記事が2月8日付で掲載されています。

要点を簡単にまとめると、次のようになります。

米国の失業率が10%周辺を推移している中で、フリーランスが増加している。これは1980年代後半の経済低迷をきっかけに始まった傾向で一時的なものに思われたが、この傾向は現在も依然として進行中である。安定した雇用状態の喪失を嘆くのではなく、将来に備えることが重要だ。実際、コンサルタントやフリーランスとして成功している人たちもたくさんおり、彼らには5つの共通点がある。

一つ目に長期展望。

二つ目に、仕事が来るのを待つという消極的な姿勢ではなく、自ら仕事を獲得しにいくという攻めの姿勢。

三つ目に、専門知識や技術の修練のために学校やワークショップで講師として当該分野について教えること。(メリット1:収入になる。メリット2:ネットワークづくり。メリット3:講師としての経験を通じて社会的信用度を高められる。メリット4:常に当該分野における最新の情報を確保できる。)

四つ目に、講師として働くことによって企業がそこに目をつけてビジネス関係が生まれ、時には教え子が起業した際にビジネス契約を結ぶことができることもある。

五つ目に、フリーランスのネットワークを活用して、仕事を獲得したり、フリーランス同士でプロジェクトを立ち上げたりする。(ただし、フリーランスのネットワークにも従来の職場と同じような政治的な駆け引きや暗黙のルールがあるので、それを乱さないようにする注意が必要。)

成功しているフリーランサーは居住スペースと仕事用の空間をしっかり分けて、めりはりのあるスタイルを確立している。これは本人たちの仕事上の効率だけでなく、クライアントの要請にも合致している。

フリーランサーには、何でも仕事を請け負うのではなく、職務上のミッションとして自分の専門領域と言える仕事こそ責任を持って引き受けるというプロ意識が要求される。短期的な利益追求が長期的に見て評価を下げる結果になってしまうこともある。

この記事を読んで私が第一に受ける印象は、フリーランスに関してかなり杓子定規な考え方を提示しており、既に多くのフリーランサーにとっては常識になっている陳腐な情報という感じです。

どの考え方ももっともであり、基本的におさえておくべきポイントは突いますが、もうどれも新鮮味を失っていると思います。

このブログに書いていることは、少なくとも私が翻訳を通じて経験してきたことに基づいた意見です。例えば、職務上のミッションを持ち、自分の専門分野の仕事を引き受けるというポイントですが、私の場合、人文科学・社会科学分野全体に対して対応可能なので、専門と言える領域の幅が広いです。語学学校で専攻した行政分野はもちろんのこと、政治や経済、国際情勢、ジャーナリスム、歴史、文学、宗教、教育、心理学、文化人類学、芸術などかなり幅広く対応することができます。

これは、弁護士や行政書士、司法書士、ファイナンシャル・プランナー、公認会計士、税理士、弁理士といった職種によって違いはあると思いますが、どの職種でも対応領域が広いことは、強みにこそなれ、不利益にはならないのではと思います。

また、上記の成功のためのポイントも、各職種によって応用しやすいものもあれば、しにくいものもあると思います。

これからの時代は、一人の人間がマルチキャリアを持つくらいがちょうどいいと思うのです。一つの職種や市場が低迷しても、別の職種や市場でそのリスクをヘッジし、複数の専門分野についての知識を総合してレバレッジを利かせるという戦略的な生き方こそ、不安定で何が起こるか予測しづらい時こそ有効だと思います。これからの時代は、いわば、学び続けることが当然の世の中になると思います。

そのためには、どんな分野でもマーケティングの知識は不可欠です。ターゲティングやセグメンテーション、ブランディング、内部分析、外部分析、戦略BASiCS、3C、4Pといった基本概念を理解し、実際の当該分野の実務に落し込めるようになることは必要条件だと思います。

マーケティングの知識をしっかり習得していれば、専門分野の市場に関する調査はもちろんのこと、別の分野についても的確な調査をすることができるので、戦略的なアプローチが可能になります。

フリーランスとは、専門分野に関する知識や技術を持った職人的なスペシャリストであると同時に、ビジネスという観点からものを考えることができる経営者目線も兼ね備えたビジネスパーソンでなければなりません。

テーマ : 独立・開業
ジャンル : ビジネス

フリーミアムモデル

昨年最後にブログを書いてから、すっかりブログの更新が滞ってしまいました。

この時期に新年のあいさつもちょっとはばかられますが、ブログをご覧のみなさん、あけましておめでとうございます。

新年最初のブログからちょっと長文になりますが、最近興味を惹かれている話題について書いてみたいと思います。

昨年末、『ワイアード』誌の編集長で、世界的ベストセラー『ロングテール―「売れない商品」を宝の山に変える新戦略』でも知られているクリス・アンダーソン氏の最新の著書『フリー <無料>からお金を生みだす新戦略』という話題の本を読みました。

この本は、近年のネット上の無料のサービスに象徴される「フリー」の概念について、その歴史や心理学的側面など様々な側面を取り上げ、綿密に検証しています。

その中でも、著者が提示している「フリーミアム」という概念が注目されています。

この言葉は、「フリー」(無料)と「プレミアム」(有料)の2つを組み合わせたビジネスモデルを指す造語です。

同書の中で著者は、「フリー」を次の四つに大別しています。

一つ目は、フリーでない他のものを販売し、そこからフリーを補填する「直接的内部相互補助」。

二つ目は、第三者がスポンサーとしてお金を支払うけれど、多くの人々にはフリーとして提供される「三者間市場」。

三つ目は、フリーによって人を惹きつけ、有償のバージョン違いを用意する「フリーミアム」。

四つ目は、非貨幣市場(贈与経済や無償の労働など)。

本書は、昨年7月7日にハードカバー版が発売され、同月の9日に書籍やプレゼンテーション用資料を無料で共有できるサービス「Scribed」で電子版が無料で配布されました。

つまり、著者は著書のマーケティング自体にフリーミアムモデルを利用するというオシャレな演出も見せたのです。

このビジネスモデルは、ネット上に広がるフリーのサービスを最大限に活用したものであり、今の時代に非常に合ったモデルと言えます。ネット上でフリーを強みとしたセルフブランディングを行い、そこで得た知名度を利用して他の領域で収益を回収するというやり方は、全く広告費をかけずにネット媒体を利用したスマートなマーケティング手法です。今や、ネット上で世界中の誰もが閲覧することができるので、情報の広がりは計り知れないものがあります。

ネットの発達によって新聞記事や雑誌記事のオンライン情報に無料でアクセスできるようになったことで、ここ数年だけでも休刊になった刊行物は記憶に新しいところです。すぐに思いつくだけでも、朝日新聞出版が発行していた月刊雑誌『論座』が2008年10月号をもって休刊、講談社の『月刊現代』も2008年12月1日発売の2009年1月号を最後に休刊となりました。さらに、新潮社の『フォーサイト』も今年の3月20日発売の4月号をもって休刊となることが既に決まっています。

『フリー』から『フリーミアム』へ,PoliticoやZyngaも成功」と題するサイトには、前述のフリーミアムモデルがオンライン新聞に適応された例が説明されています。

フリーミアムモデルの成功事例としては,新興新聞“Politico”が当てはまりそうである。“Politico”のサイトでは全ての記事が無料で閲覧でき,Nielsen調査では毎月400万人近いユーザーがサイトを訪れている(別の調査では700万人というデータもある)。一方,無料サイトでは得られないコンテンツを含む有料の“Politico”紙は,おそらく約5万人が購読している(新聞紙売上から逆算)。ということは,無料ユーザー400万人の1%,多く見ても2%しか,年間購読料200ドルの新聞紙を読んでくれていないことになる。それでも,新聞紙の購読売上によって,同社は黒字化を達成するのだから,“Politico”のフリーミアムモデルは成功したといえる。

また、「個人が印税35%の電子書籍を出版できる時代―Amazon Kindleの衝撃」と題した記事では、電子書籍市場の目覚ましい拡大について書かれています。主なポイントを抽出します。

Amazonのクリスマス商戦において,電子書籍が通常書籍の売上を上回ったというニュースが出版関係者を驚かせた。Kindle自体の販売台数も100万台を突破し,またその上で閲覧できる電子書籍もすでに40万冊になろうとしている。

Kindle Booksでは製本原価や出版会社の販売管理費が不要となる。例えば書籍定価が1000円,初版3000部が完売,印税が10%,製本原価が40%,流通マージンが30%だった場合の売上分配をシミュレーションしてみよう。

■リアル書籍の場合の売上300万円分配
  ・小売・流通会社 90万円 (30%) 
  ・印刷・製本会社 120万円 (40%)
  ・出版会社 60万円 (20%)
  ・著者 30万円 (10%)

■電子書籍の場合の売上300万円分配 (リアル書籍と同額の1000円で販売した場合)
  ・Amazon 195万円 (65%)
  ・出版会社 75万円 (25%)
  ・著者 30万円 (10%)

■電子書籍で著者が直接販売する場合の売上300万円分配 (同上)
  ・Amazon  195万円 (65%)
  ・著者 105万円 (35%)

問題はこの電子書籍リーダー(およびタブレット)がどのくらい普及するかだが,モルガンスタンレー調査によると,累積台数で2010年には700万台,2013年に4900万台になると予想している。

Amazonはこの勢いに乗じ,日本を含む全世界100ヶ国でKindleを発売開始した。またGoogleはソニー(電子書籍リーダー)と組んで電子書籍普及に乗り出すことを発表し,さらにAppleのジョブスもいよいよ電子書籍に本腰を入れ始めている。

デジタル・コンテンツ配信は,コンテンツ著作者と販売ポータルに大いなるチャンスをもたらす反面,その中間に位置する事業者にとっては大変な脅威となる。音楽業界におけるレコード会社と同様,出版業や書籍流通業は新たな付加価値やビジネスモデルを構築する必要性に迫られるはずだ。

ちょっと引用が長くなりましたが、ウィキペディアの説明によると、Amazon.comは「本のためのiPod」をコンセプトに開発に3年を費やし、2007年11月にKindleが発売となった、と説明しています。

フリーミアムモデルという概念の普及や電子書籍市場の拡大は、ネットを利用する多くの人たちにとって、特に無名の素人にとって大きなチャンスをもたらしてくれるものだと思います。

が、無名の素人がブランド価値を獲得できるチャンスが増えたとはいえ、そのチャンスを活かすことができるだけの肝心の中身が備わっていなければ何事も成し得ないのであり、私は現実には状況はそれほど大きく変わるわけではないだろうと思います。

言わば、プロ野球選手になりたいと思っている素人全員にプロテストのチャンスが与えられたとしても、それに合格する実力がなければ、結果はついてきません。

実際、電子書籍市場の拡大という状況の中で、既に激烈なレッドオーシャンが生まれていると思います。

つい先日、Twitterで自分ブランドの確立を手助けすることを専門にしているコンサルタントの方が、昨年世界的に有名になったスーザン・ボイルさんの最大のブランドは、圧倒的な歌唱力であり、その声によって、彼女がオーディション番組で歌を歌い始めた瞬間に聴く人の心を瞬時にとらえることができたことが大きいということをおっしゃっていました。

何か光るもの、人々の心を掴むものがなければ、いくら電子書籍市場が拡大しているといっても、そう簡単にチャンスをものにできるわけではないと思います。もちろん。凡庸な私を含めて。

テーマ : 読んだ本の紹介
ジャンル : 本・雑誌

『パーソナル・マーケティング』

昨日、レバレッジシリーズで知られている本田直之さんの『パーソナル・マーケティング』という本を読みました。

この本は、無名の個人が自分をブランディングしていくための適切な手法を非常にわかりやすく説明した本で、たいへん参考になります。

例えば、60ページから63ページの中で、本田さんは自分のプロフィールにストーリー性を持たせるための具体的な例を挙げています。普通の無味乾燥な職務経歴書と違って、自分の強みや実績、個性を上手に表現するための自己紹介として参考になります。実際に本田さんは次のような書き方を紹介しています。

■職務経歴書のようなプロフィール

明治大学商学部卒。
サンダーバード国際経営大学院経営学修士(MBA)
Citibankなど外資3社で営業・マーケティング業務
レバレッジコンサルティング代表取締役

■ストーリーのあるプロフィール

○仕事の実績

・2001年に経営する会社を上場させる
・日米12社ベンチャー投資・育成
・年間400冊のビジネス書を読む
・135万部ベストセラー
・著者プロデュース40万部

○ライフスタイル

・ハワイ・東京デュアルライフ
・経営者を中心にトライアスロンチームを主宰
・LA、上海など海外で活躍する在留邦人を応援すべくボランティアで講演活動

○持っている資格

・サンダーバード国際経営大学院経営学修士(MBA)
・日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー
・世界遺産アカデミー会員
・1級小型船舶操縦士

この二種類の書き方を見れば、どちらの自己紹介がよりわかりやすく、優れているかは一目瞭然です。

また、自分をアピールする文書を考える際、最初から文章を書くのではなく、自分に関係したキーワードを列挙することによって、タグリストを作ってみるという方法も紹介されています。これも非常にためになります。

さらに、パーソナル・マーケティングの重要なポイントとして、「自分の進みたい方向がわかっていること」、「自分ならではの独自性をつねに意識していること」、「周囲への貢献(コントリビューション)をつねに考えていること」、「誰の役に立つかを徹底的に考えること」、「自分のキャッチフレーズを持つこと」、「セルフメディアを持つこと」、「長期ブランディングを目指すこと」などを挙げています。

書かれている内容は、どれもマーケティングの鍵となるポイントばかりで、これを体系的に学び実践していくことによって、適切な営業やプロモーションができるようになります。少なくとも、決して的外れな手法はとらなくなるでしょう。

テーマ : 成功をかなえる自分に向かって
ジャンル : ビジネス

プロフィール

平井和也

Author:平井和也
KH翻訳事務所代表。主に人文科学・社会科学分野の日英・英日翻訳を中心にしており、行政翻訳専攻です。好奇心旺盛な本好きです。異文化間コミュニケーション・サポーター。日本翻訳者協会(JAT)会員。海外ニュースライター。

特に政治、経済、国際情勢、行政、ジャーナリズムといった時事的なテーマが得意です。

主な翻訳実績として、東大や一橋大学などの教授の書いた学術文書の英訳、2006年サッカーW杯ドイツ大会の翻訳プロジェクトや防衛省・法務省などの政府系文書、政府高官のパーティースピーチ文書、国際会議関連文書、シンクタンクの報告書・論考、英字新聞『ジャパン・タイムズ』寄稿記事の和訳などの翻訳経験があります。

趣味:読書、語学。

ブログを読んでいただいて、ご意見・ご感想などございましたら、お気軽に以下のアドレスまでメールをいただければと思います。

curiositykh@world.odn.ne.jp

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