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スポーツから考えるコミュニケーション論

新年があけてから初めてのブログ更新です。今年最初のテーマとして、「スポーツから考えるコミュニケーション論」というテーマについて書いてみたいと思います。

私はスポーツを見る時、舞台で繰り広げられているプレーだけではなく、その時その時の選手たちの心理や考えていることといった内面に興味があります。スポーツというものを、選手同士のコミュニケーションや心理状態という観点から捉えてみることに魅力を感じます。

例えば、野球はよくメンタルなスポーツだと言われますが、たった一つのプレーで一気に試合の流れが変わったり、たった一球がきっかけでピッチャーの調子が上向いたり下がったりすることがあります。また、野球というスポーツは、キャッチャーの配球指示とピッチャーの心理による球種選択や、バッターとの駆け引きといった要素が大きな見どころの一つであり、そういう野球の側面が私にとっては非常に見応えがあり、魅力的なものに感じられます。

今回のブログではまず、そういうスポーツの中から、特にサッカー日本代表のザッケローニ監督のコミュニケーション哲学に注目してみたいと思います。

スポーツ雑誌『ナンバー』の1月26日号に、アルベルト・ザッケローニ監督が日本代表選手たちとどういうコミュニケーションスタイルで接しているかということについて取材した記事が掲載されています。この記事の中で、ザッケローニ監督は、自身のコミュニケーションスタイルについて次のように説明しています。

「私のアプローチはまずチーム全体から入っていき、次に個人に焦点を絞っていくやり方です。総体的なものから順を追って説明していき、最終的には個人に向かう。代表は集まる時間も少ないから、よりコミュニケーションが必要になる。私が何を求めているか把握して練習するのと、そうでないのとでは練習の内容が全然違ってくる。短い時間で良いトレーニングをするために、そういったアプローチを大切にしているんです」

そして、具体的な選手との対話の内容として、李忠成選手の次のようなコメントが紹介されています。

「毎試合、ザックさんから一人ずつ、役割を伝えられます。例えば僕には『お前がいろんな動きをして(香川)真司、(本田)圭佑とのコンビネーションを意識しながら攻撃してくれ』などと指示が来る。監督から求められていることが分かるし、自分がやるべきことを整理して試合に臨めるんです」

また、ザッケローニ監督は選手から質問を受けた時の答えが常にはっきりしており、曖昧な答えをせず、絶対に言い切るというスタイルを堅持しているということです。監督や指導者は普通は複数の選択肢の中から、状況によって判断するようにといったことを言いがちですが、ザッケローニ監督の場合は、こういうシチュエーションではこう考えて、こういうポジションを取れといったように明確に言い切るそうです。

私はスポーツを全般的に好きですが、サッカーにとことん詳しいというタイプでもないので、私自身の捉え方がどのくらい妥当なものなのかはわかりませんが、少なくとも、私の人生経験とこの記事を読んだ限りから受ける印象を基にして考えた場合、選手一人一人とのマンツーマンのコミュニケーションを重視するザッケローニ監督のスタイルというのは、限られた時間の中で中身の濃いパフォーマンスを組織的に行う上で、非常にわかりやすく有効なものに思えます。私はこのコミュニケーションスタイルから、次の三つのメリットを読み取ります。

一つは、はっきりと言い切ることで、曖昧さを排除し、選手一人一人のチームにおける役割を明確にすることができるということ。二つ目に、選手一人一人とマンツーマンでコミュニケーションを取り、選手に明確な指示を出すことで、選手の迷いをなくし、プレーに自信を持って臨めるようにできること。そして、三つ目として、選手一人一人に明確な役割を与えることができるということは、それだけその選手の強みや持ち味をはっきりと把握できているということであり、選手一人一人が自分の長所を監督から信頼され、評価してもらえているという信頼感や期待感を実感できるということです。

私はこのブログ以外にもモータースポーツの世界最高峰に位置するF1についての専門ブログも持っていますが、F1などまさにチームスポーツそのものであり、チーム内でのドライバー同士の相性や監督の意思統一、スタッフの連携などがレースの結果を左右してきます。有名な例では、マクラーレンホンダがアイルトン・セナとアラン・プロストという最強のドライバーズラインナップを組み、ホンダエンジンを搭載した黄金のパッケージを持ちながらも、セナとプロストとの関係が次第に悪化していき、チームメイト同士で激しく対立し合うという構図が生まれ、せっかくの贅沢なラインナップがプラス方向に機能しなかったという歴史的な事例があります。

それとは対照的に、セナプロ時代から20年以上を経た今のマクラーレンを見てみると、ルイス・ハミルトンジェンソン・バトンという二人のドライバーの組み合わせは、非常にバランスが取れていて、相性が抜群です。ハミルトンというドライバーはアグレッシブなドライビングスタイルを売り物にしており、昨シーズンはそれが裏目に出て、危険な行為をし過ぎると激しい批判を浴びました。一方、日本人モデルの道端ジェシカを恋人に持つことで知られているバトンは、大人の落ち着きや成熟を感じさせる安定した走りを強みとしており、攻撃的なハミルトンと好対照を成しています。性格的にも興奮しやすいハミルトンに対して、様々なバランスや状況を冷静に考えながらレース運びを組み立てるバトンという組み合わせは、絶妙であり、二人の関係というのはお互いを上手く補い合って、チームとしてのバランスを保っています。

こういうアスリートの性格や心理、コミュニケーションスタイル、選手相互の相性など人間的な側面に注目してスポーツを見ると、また違ったものが見えてくるのではないかと思います。
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プロフィール

平井和也

Author:平井和也
KH翻訳事務所代表。主に人文科学・社会科学分野の日英・英日翻訳を中心にしており、行政翻訳専攻です。好奇心旺盛な本好きです。異文化間コミュニケーション・サポーター。日本翻訳者協会(JAT)会員。海外ニュースライター。

特に政治、経済、国際情勢、行政、ジャーナリズムといった時事的なテーマが得意です。

主な翻訳実績として、東大や一橋大学などの教授の書いた学術文書の英訳、2006年サッカーW杯ドイツ大会の翻訳プロジェクトや防衛省・法務省などの政府系文書、政府高官のパーティースピーチ文書、国際会議関連文書、シンクタンクの報告書・論考、英字新聞『ジャパン・タイムズ』寄稿記事の和訳などの翻訳経験があります。

趣味:読書、語学。

ブログを読んでいただいて、ご意見・ご感想などございましたら、お気軽に以下のアドレスまでメールをいただければと思います。

curiositykh@world.odn.ne.jp

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